担当者①:年末調整作業前の準備をする

年末調整を行うにあたり、年末調整担当者側で事前に実施しておく準備について説明します。
担当者が準備しておくことで、年末調整を滞りなく進めることができます。

給与ソフトの確認

年末調整を始める前に、利用している給与ソフトについて確認してください。

動作環境の確認

Web給金帳Cloud の年末調整機能は、国税庁が提供する「年末調整控除申告書作成用ソフトウェア」(以下「年調ソフト」)を使用することを前提としています。
利用している給与ソフトが、年調ソフトから出力される控除申告書データの取り込みに対応しているか確認してください。対応していない給与ソフトを利用している場合は、Web給金帳Cloud の年末調整機能を利用することはできません。

Web給金帳Cloud および年調ソフトの両方と連携できる給与ソフトは以下の通りです。

年調ソフトについて詳しくは、国税庁の Web サイトを参照してください。

控除申告書データの取り込み処理のテスト

年末調整の作業を実際に始める前に、年調ソフトで作成した控除申告書データを、給与ソフトが正常に取り込めるかテストすることをお勧めします。
給与ソフトへの連携が問題なくできることを確認してから、年末調整を開始することができます。


社員データの準備

年調ソフトを利用、および Web給金帳Cloud で各社員へデータを配付するために必要なデータを準備します。

年末調整配信用の社員データ CSV ファイルの作成

年調ソフトを利用するには、次のデータが必要です。

  • 社員コード:各社員の社員コードです。
  • 社員名:各社員の氏名です。
  • ID:年調ソフトで控除申告書データを作成するために必要な ID です。
  • パスワード:年調ソフトで控除申告書データを作成するために必要なパスワードです。
  • 給与収入:各社員の、当年の給与(賞与も含む)の合計額です。

Web給金帳Cloud で各社員へデータを配付するため、上記のデータを CSV 形式で記載したファイルを作成してください。
CSV テンプレートをダウンロードすることもできます。

社員データ CSV ファイルの形式
  • 項目と項目の間に、カンマ(,)を入力して区切ります。
  • 文字コードは、「Shift-JIS」、「JIS」、「UTF-8」、または「EUCJP」にします。
  • ヘッダー行とデータ行が必要です。
  • ヘッダー行の項目名は以下の通りです。
    「社員コード」および「社員名」は必須項目です。これらの項目名が異なっていると、Web給金帳Cloud にインポートできません。
    それ以外の項目名は任意で設定できます。必要に応じて、任意の項目を追加、編集、または削除できます。
    【項目名(例)】
    • 1 列目:”社員コード”
    • 2 列目:”社員名”
    • 3 列目:”ID”
    • 4 列目:”パスワード”
    • 5 列目:”給与収入”
  • 各項目に設定する値は以下の通りです。
項目名必須/任意
社員コード必須Web給金帳Cloud の社員管理に登録している社員コードです。
社員名必須Web給金帳Cloud の社員管理に登録している社員名です。
ID必須任意の ID を指定します(半角英数字 20 桁以下)。
社員コードと一致させることをお勧めします。
年調ソフトで使用します。
パスワード任意任意のパスワードを設定できます(半角英数字 6 桁以上 20 桁以下)。
年調ソフトで使用します。
給与収入任意各社員の、当年の 1 月 1 日から 12 月 31 日までの期間の給与収入の合計額です。
給与収入の見積金額を社員が自分で計算して入力する場合は、この項目は不要です。削除してください。
  • インポートできる CSV ファイルの最大サイズは、20MB です。
  • インポートできる CSV ファイルの最大行数は、5001 行です。
  • Web給金帳Cloud の[設定]画面の、[(配信)社員別メッセージの各項目で入力できる文字数]で指定されている最大文字数を超えた場合は、それ以降の文字は表示されません。

CSV ファイルのイメージ

社員コード社員名IDパスワード給与収入
0123456789鈴木 太郎0123456789t9JYRreX3151000
0234567890山田 一郎0234567890B6eUnAf43302000
0345678901斎藤 二郎0345678901Wa8EAMGS4453000
0456789012佐藤 三郎0456789012W3yt2J8z3704000
0567890123田中 四郎0567890123b3WXuZqi3885000
0678901234中村 五郎0678901234qJ5eb8cA4166000
0789012345中田 六郎0789012345De7ZJfYc6337000
0890123456中山 七郎0890123456s9EvYieX3158000

CSV ファイルのサンプル

社員コード,社員名,ID,パスワード,給与収入
0123456789,鈴木 太郎,0123456789,t9JYRreX,3151000
0234567890,山田 一郎,0234567890,B6eUnAf4,3302000
0345678901,斎藤 二郎,0345678901,Wa8EAMGS,4453000
0456789012,佐藤 三郎,0456789012,W3yt2J8z,3704000
0567890123,田中 四郎,0567890123,b3WXuZqi,3885000
0678901234,中村 五郎,0678901234,qJ5eb8cA,4166000
0789012345,中田 六郎,0789012345,De7ZJfYc,6337000
0890123456,中山 七郎,0890123456,s9EvYieX,3158000

団体扱保険一覧データのダウンロード(団体扱保険に加入している場合)

団体扱保険に加入していない場合は、この手順は不要です。次の手順へ進んでください。

団体扱保険に加入している場合、社員が保険料控除を受けるには、会社から社員に団体扱保険の控除証明書ファイルを配付する必要があります。

団体扱保険の控除証明書ファイルは、団体扱保険の一覧データ(DAT ファイル、CSV ファイル、TXT ファイル)から作成します。
データは、加入している保険会社から入手します。入手方法については、加入している保険会社などに確認してください。

氏名コード変換 CSV ファイルの作成(団体扱保険に加入している場合)

団体扱保険に加入していない場合は、この手順は不要です。次の手順へ進んでください。

団体扱保険に加入している場合、団体扱保険の一覧データに記載されている「氏名コード」と「氏名」を関連付けるための CSV ファイルを作成します。
作成した CSV ファイルを年調ソフトに取り込むことで、団体扱保険一覧データの「氏名コード」の「氏名」への変換を自動化することができます。
氏名コード変換 CSV ファイルは以下の形式で作成します。

氏名コード変換 CSV ファイルの形式
  • 項目と項目の間に、カンマ(,)を入力して区切ります。
  • 文字コードは、「Shift-JIS」にします。
  • ヘッダー行を含めないでください。データ行のみで作成されている必要があります。
  • 必要な項目は以下の通りです。
    • 1 列目:氏名コード
    • 2 列目:氏名
  • 氏名コードは、保険会社よりデータで発行される団体扱保険情報に記載されているものと同一のコードを記入してください。
  • 氏名コードは重複しないよう作成してください。重複していると年調ソフトにインポートできません。
  • 氏名コードには、ブランクを含めないでください。
  • 氏名は、国税庁 Web サイトの「電子的控除証明書等作成ソフト」の記載要領に従ってください。
    電子的控除証明書等作成ソフトのダウンロードコーナー(6)利用手順の「CSV による電子的控除証明書等の作成について」内に記載されています。
  • 氏名コード変換 CSV ファイルの形式について、詳しくは年調ソフトの操作マニュアルを参照してください。

CSVファイルのイメージ

0123456789鈴木 太郎
0234567890山田 一郎
0345678901斎藤 二郎
0456789012佐藤 三郎
0567890123田中 四郎
0678901234中村 五郎
0789012345中田 六郎
0890123456中山 七郎

CSVファイルのサンプル

0123456789,鈴木 太郎
0234567890,山田 一郎
0345678901,斎藤 二郎
0456789012,佐藤 三郎
0567890123,田中 四郎
0678901234,中村 五郎
0789012345,中田 六郎
0890123456,中山 七郎

ソフトのインストール

必要なソフトウェアをインストールします。

年調ソフトのインストール

年調ソフトは、国税庁が提供する無料のアプリです。
年末調整担当者は年調ソフトを利用して、各社員が控除申告書データを作成するために必要なデータを作成します。

注意
  • 年調ソフトは毎年アップデートされるため、前年にインストールしていた場合でも、当年の年調ソフトを新たにインストールする必要があります。
  • 年末調整管理者は、Windows パソコンにインストールする必要があります。

以下の Microsoft Store のバナーをクリックすると、アプリのインストール画面を表示できます(2025年6月現在)。

バナーからアクセスできない場合や、ストアからのインストールができない場合は、国税庁の Web サイトを参照してください。

電子的控除証明書等作成ソフトのインストール(団体扱保険に加入している場合)

電子的控除証明書等作成ソフトとは、国税庁が提供する無料のアプリです。
団体扱保険に加入している場合、年末調整担当者は、電子的控除証明書等作成ソフトを利用して団体扱保険一覧データから各社員ごとの控除証明書ファイルを作成します。

国税庁 Web サイトの「電子的控除証明書等作成ソフトのダウンロードコーナー」からインストーラーをダウンロードできます。


社員への準備作業依頼

年末調整を実施するために社員が行う必要がある作業について説明し、事前の準備を依頼します。

年調ソフトのインストール

社員が年末調整を実施するためには、年調ソフトのダウンロードおよびインストールが必要です。
インストール方法については、「社員①:年末調整作業前の準備をする」の「年調ソフトのインストール」を参照してください。

メモ

社員は、Windows パソコン以外でも年調ソフトを利用できます。

マイナポータル連携(任意)

社員が生命保険などに加入している場合、控除を受けるためには、控除証明書のデータを年調ソフトに取り込む必要があります。
マイナポータルの利用者登録を行い、マイナポータル連携をすることで、控除証明書のデータをマイナポータル経由でまとめて取得できます。

マイナポータルの利用を開始してから、控除証明書のデータが取得できるまでには、数日かかる場合があります。あらかじめ、社員にマイナポータルの利用者登録を依頼しておくことで、年末調整を滞りなく行うことができます。

マイナポータル連携について、詳しくはマイナポータル Web サイトの「年末調整の事前準備について」を参照してください。

控除証明書ファイルの準備(該当者のみ)

社員がマイナポータル連携を利用しない場合、生命保険などの控除を受けるためには、控除証明書ファイルを準備しておく必要があります。
あらかじめ社員に控除証明書ファイルを準備してもらうことで、年末調整を滞りなく行うことができます。

控除証明書ファイルは、加入している保険会社などからダウンロードします。
ダウンロード方法については、加入している保険会社などに確認してください。

控除証明書の書面の準備(該当者のみ)

社員が加入している保険会社などが、控除証明書の電子化に対応していない場合、年末調整の申告時には年調ソフトで控除証明書の内容を入力した上で、控除証明書の書面(原本)を提出する必要があります。

控除証明書の書面は、加入している保険会社などからハガキや封書で届きます。


次の手順について

これで、年末調整作業前の準備は完了です。

必要なデータが揃っていますか?

  • 年末調整配信用の社員データ CSV ファイル
  • 団体扱保険の一覧データ ファイル(団体扱保険に加入の場合のみ)
  • 氏名コード変換 CSV ファイル(団体扱保険に加入の場合のみ)

必要なソフトウェアがインストールされていますか?

  • 当年の年調ソフト
  • 電子的控除証明書等作成ソフト(団体扱保険に加入の場合のみ)

事前準備について社員に案内しましたか?

  • 当年の年調ソフトのインストール
  • マイナポータル連携(任意)
  • 控除証明書ファイルの準備(該当者のみ)
  • 控除証明書の書面の準備(該当者のみ)

続けて、年末調整用データの作成に進みます。